本場で研修してきた。

西洋文化に追いつくべく、明治新政府が推進した「文明開化」の象徴といえば、牛肉食の解禁。

明治5年1月24日には時の天皇も牛肉を食し、仮名垣魯文の安愚楽鍋にもあるように牛鍋がたいそうもてはやされた。

あぐらなべ
「牛鍋食わぬは開化不進奴」


だが、当時の牛鍋は牛のぶつ切り肉の味噌煮込みだった。これを現在のすき焼き肉のような薄切り肉として砂糖と醤油で味付けし、"すき焼き"の原型を作ったと言われているのが、三重県松阪市にある明治11年創業の「和田金」初代店主なのだ。


つまり日本人のソウルフード"すき焼き"の元祖が「和田金」ということになる。

肉好きの私はすき焼きも幼少時代から大好物で、思い返せば誕生日ディナーが必ずすき焼きだったほどである。

私たちは部活動に勤しむ中でこの「和田金」というお店の存在を知り、数年前からずっと訪問する機会をうかがっていた。
そしてついに今回、思い切って和牛の本場である松阪に乗り込み、「和田金」で部活を決行することにしたのである。


しかし、割と辺鄙なところにある松阪。そう滅多に行ける場所ではない。今回は部活動だし、歴史ある松阪と松阪牛を堪能し尽くすべく"欲張り2本立て"プランを計画した。
初日に「和田金」、そして二日目に「牛銀」である。
「牛銀」も明治35年創業の老舗で超有名な松阪牛専門店だ。今回は元祖「和田金」ですき焼きを、「牛銀」ではこのお店オリジナルの食べ方である"汐ちり"を頂くことにした。


初日は名張で登り、まだまだ登りたいのに後ろ髪引かれながら(部活って辛い!)15時に岩場を出発。
ホテルでちゃんとした服に着替えて出陣した。部活開始!

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今回は寿き焼の松コースと網焼き厳選ランプコースというお店の最高ランクを堪能する。老舗旅館に泊まりに来たかと錯覚するような8畳ほどの立派な和室に通された。ここで仲居さんに全てを委ね、ゆったりとお食事をいただくわけである。

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肉に集中するため、ビールだと飲み過ぎそうなのでシャンパンで乾杯。
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冷製、肉吸い、前菜3種と楽しんでいると、卓上の囲炉裏に赤々と焼けた炭が積み上げられた。
2mくらい離れたところからも熱を感じるほど強力な遠赤外線を放つ良質な炭。
火箸で炭をひとつひとつ丁寧に移していくその手付きに見とれてしまう。

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そして早速メインが登場。

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松阪牛ランプ肉。
和田金は和田金ファームという自家農場で育った牛さんのみを使っているので、このお肉はまさにここでしか味わえない。
結構な大きさがあって1枚100g以上はあるように見える。松阪牛をこのボリュームで、というのは都内の高級店でも余り見られない贅沢な光景で、本場ならでは。
もちろんレアでお願いする。

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たまり醤油にしっかりとつけて焼くのが和田金流。


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網にのせる前から溶け出していた融点の低い脂がたちまち溢れ出してうるうるに。


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部屋中が甘い"和牛香"に包まれ、仲居さんとの会話も弾む。老舗で松阪牛を守り続ける彼女たちの話す言葉には重みと趣があり心に響くものがある。


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都内の鉄板焼きなどでよくあるパターンだと、焼いた塊肉はこの後一口大にカットしてからサーブされる。しかし仲居さんは焼けたお肉をそのままお皿にポンとのせ、「お箸で切れるのでそのままどうぞ」と宣った!

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もちろん、まずはそのままかぶりつく。するとほとんど噛まないうちに切れてしまった。肉の繊維が柔らか過ぎてほどけてしまう。
脂も肉の味も非常に上品な上、すぐに消えてしまうのでしっかりと味わう必要がある。
明らかに都内で「松阪牛」として出回っているお肉とは質が違う。


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そろそろワインを追加して・・・


お次はついにすき焼きの登場!
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見よ、この美しすぎるサシ!!


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牛脂をひいたお鍋にまず肉のみが投入され、たまり醤油と砂糖で甘く味付けしていく。


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たちまちくつくつと踊るお肉。そしてお肉の色が変わってきた。たまらない和牛香!!鼻腔を拡げて吸い込みまくる。


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良い加減で仲居さんがお肉を引き上げ、「どうぞ」と穏やかに器へ投入。


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これに卵にたっぷりとからめていただくわけです!


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これが本場のすき焼きだー!


お肉にかぶりつくや否や、とろけ出す牛脂。写真だけ見ているといかにもこってりとした感じを想像されるだろうが、和田金さん選りすぐりの松阪牛は、ひと噛みふた噛みでさらりと消えてしまい、全くあとに残らない。最初の一瞬こそそのジューシーさを味わえるものの、それは刹那。あとに残るのはただただ肉の旨味だけ・・。
こってり肉はちょっと苦手、高級なお肉は脂がすご過ぎて辛い、と思っている方にはぜひ"本物"を味わってみていただきたい!


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お肉が終わったお鍋に、続いてお野菜投入。お肉の旨みがたっぷり染み込んで野菜もより一層美味しくなる。またスープは、白だしベースのシンプルな味付けで、肉の旨味と野菜から出た水で非常に優しいお味になっている。


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すっかり胸いっぱいになったところで、網を利用して焼き餅が供された。お肉の香りから一転、香ばしい匂いに顔がほころぶ。


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すき焼きを食べて残った卵は旨味の塊なので、お米をもらってTKGにした。この時点で大食いの私たちも腹5分目を超えてきた。


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しかし最後に、オプションで頼んだ"肉ひつまぶし"が登場。なんとも贅沢な部活動!


初めはそのままで、お次に薬味を入れて味を変え、
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最後はお茶漬けにしていただく。
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味もサービスも大満足。"美味しい食事"とは、やはり"楽しいひと時"なのだと実感した。"松阪牛を楽しむ"場をトータルコーディネートしてくれるという超一流のサービスを体験できた。そこに本場ならではの趣、歴史が感じられて、より一層、いつもの部活にはない奥深さがあった。はるばる松阪まできて、本当に良かった。


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翌日は朝ランでカロリー消費したあと、日帰り温泉で部活着(ジャージではない)に換装。午前11時、牛銀本店へ乗り込んだ。

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お昼の開店前からお店の前には人だかりが。牛銀本店の横には「洋食屋牛銀」という別の店舗もあって、順番待ちのお客さんで賑わっていた。ちなみにお店の初代が「銀蔵さん」という名前だったから「牛銀」なのだそうだ。


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豪華絢爛な和田金とは違って、非常に歴史を感じる木造建築。靴を脱いで上がり、仲居さんについて2階一番奥の4畳半の個室へ通される。廊下がぎしぎしいう感じが非常に昭和っぽい。否、明治なのだが。


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今回も、このお店の最高ランクをということで汐ちりの「寿」コースを予約していた。「本日は"寿のお肉"をご用意できますので」、と仲居さん。予約していたとしても"寿のお肉"は常にあるわけではないようだ。


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というわけで、個体識別番号付きの正真正銘、「特産」松阪牛で汐ちりがスタート。

※部活めも:「特産松阪牛」とは・・
松阪牛の中でも、兵庫県但馬・淡路産の子牛を定められた方法で900日以上肥育するなど、厳しい条件を全てクリアした松阪牛のトップブランド。A5やA4などと言った日本食肉格付け協会の等級表示はない。通常より10ヶ月も長く肥育する必要があるためリスクとコストが大きく、熟練の肥育農家でしか育てることができない。松阪牛全体の約4%しか存在せず、「生きたまま熟成」させるという意味から"究極のエイジングビーフ"と言われている。
(重要。テストに出ます)

汐ちりは牛銀オリジナルのメニュー。
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和田金がたまり醤油なのに対し、汐ちりは白しょうゆと昆布だし、こしょうでシンプルに味付けする。

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味付けがシンプルなので肉の旨味がダイレクトに味わえる。
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汐ちりが気に入って、これ目当てで来るリピーターも多いのだとか。塩気とこしょうのアクセントも相まって、より肉肉しさが強調されている。

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焼肉に近い食べ方と言ったらわかりやすいだろうか。個人的にはすき焼きよりもこちらの方が肉を食べている感が強くて好きだ。

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この絶品肉がもう1枚ずつ頂けて、合間に旨味をたっぷり吸ったお野菜で癒される。ご飯とお味噌汁はおかわり自由だ。

お肉の提供が終わり、一旦お部屋は私たちだけになる。
「はあー、幸せだね」と座椅子にもたれかかって放心する私たち。

スープも完飲し、最後に鍋に残った透き通る牛脂を眺めながら
「牛脂までなくなってたら仲居さん驚くかな」、とペコマ。
ペコマは常人離れした食い意地の持ち主なので、以前牛脂を食べて嘔吐した経験もある。戻ってきた仲居さんにそんな冗談話をしたところ、
「あら、これは食べられるんですよ、是非!」
と言って仲居さん、真顔で私たちに牛脂を勧めてき賜うた(笑)。

逆に度肝を抜かれつつ、口に入れてみると、えっ!!?
牛脂はほんの刹那に跡形もなく消えて言った。
なんと儚い。言葉もなかった。驚愕体験だった。

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「個体識別番号とともに」


現在、和牛の価格は高騰しているという。

それは和牛の生育が難しくコストがかかるなどの理由や生産者の高齢化などで農家が減少し、子牛の数が減っているからだそうだ。
和牛を育てるということはまさに職人技なのである。
そして国内の子牛、ひいては和牛の価格高騰により国内市場が縮小し、さらに価格が上がるという悪循環が起こっている。一部には市場を海外に拡大するという動きも出てきており、貴重な和牛の入手が今後さらに困難になる可能性もある。

松阪牛全体における特産松阪牛の比率も年々減少しているそうで、「特産」は高すぎて本場以外ではほぼ出回っていないそうだ。
昨年、「ふるさと納税」で松阪市に寄付をし、返礼品で松阪牛をいただいたのだが、正直脂っこくて、私とペコマが胃もたれして箸が止まるほどだった。今回食べたとろける松阪牛とは明らかに別物だったと思う。

和牛は日本が誇る芸術品であり、私たち日本人が守るべき財産だと思う。
肉好きの私はそう思う。
今回、部活動で本場を訪れてその気持ちがさらに強くなった。
いい部活ができて本当に良かった。松阪さん、ありがとう!


というわけで、部活史上最高にハイコストな二日間だったが、一応名目は「入籍7年記念旅行」ということで免責なのだ。
結論:もっともっと和牛を食べよう!


最後に。
牛銀の仲居さんの自信に満ちた名言

「本当にいい牛からとれる牛脂しか食べられないんです」

遠いけどリピ必至だ!
テーマ : 肉料理
ジャンル : グルメ

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シーズン終わりのまとめ。

今更ですが、GWは剱尾根R4に行ってました。

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今年のGW、R4は氷結が甘かったみたいですね。

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登攀を諦めたパーティもいくつかあったようだと聞きました。

今シーズン、アイス上達がひとつの目標でした。昨年11月終わりから八ヶ岳通いをはじめ、年末年始はカナディアンロッキーで登り込み、帰国後も象の鼻やブラベや、日光月山雄滝などの、少なくとも今までの自分だったらリードできなかったようなところでも自信を持って登れる様になり、3月4月は少しだけ山にも入って、迎えたこのGWでした。

夜が開けてやっとR4が「これだ」と確認出来た時、確かにずいぶん黒いなとは思ったものの、ラインをみる"心の眼"(なんかやばそうでも行ってみると割とだいじょぶっていうアレ)が養われていたからか「うん、いけるっしょ」と思えたのは良かったです。

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最後の雪壁もまっさらで、腐り放題腐った雪を一歩一歩ラッセルして上がりました。誰かのあとをついて登ってる感は幸福な事になく、登攀自体はとても楽しめました。

"継続"と表現していいのか、ベースを張らず全装備を持っての一筆書き24時間タイムトライアルを計画していただけに、R4のみとなってしまった今回の結果はやはり残念でした。

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パートナーとは下山後いろいろ話し合いました。山登りに対する価値観の違い、姿勢の違いが根底にあって、それは以前からあったものですが、今までは上手い具合に作用し合って上向きのベクトルを生み出していたその"違い"が、今回は足を引っ張る結果になった、とそんな気がしています。


ペコマはこの登山を、安全に登って的確な判断をし、無事降りてきたから「成功」だと考えており、対して私はやれるべきことを全てやったとは言えないから「失敗」だったと考えています。
やれるべきことを全部やったら事故ったかも知れないけど、やれるべきことを全部やらない登山はやる価値がない。
そこを、どこに線を引いてどう感じるか、もうこれは価値観という便利な言葉で表現するしかないでしょう。

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ひとりひとりの実力や経験値はいうまでもなく、意志や目標の統一という要素もパーティとしての強さを決定づける上で非常に重要です。今回はそれを痛感しました。と同時に、私はもっと上に行ける気がしているので、まだまだ楽しい登山を追求して行きたいと改めて思いました。


天才的な発想力もなければ、飛躍的な成長もなかなかないですが、こうやって滑稽にもがきながら、ワイドクラックよろしくずりずり這い上がって行くのが私の山のようです。ワイドがそんなに好きな訳ではないですが。でも少しずつでも良いから高度を上げて、いつまでも上へ上へと登って行きたい。そんな風に思います。



さて、GWあけたらフリーに専念しよう!と決めていました。
随分と重くなった身体を、歩くだけでなく岩も登れる身体に、アックスだけでなくスローパーや外傾カチも握れる身体に目下改造中です。
夏には海外での避暑クライミングも計画中。
テンション鰻は続きます!
テーマ : 登山
ジャンル : スポーツ

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2017/4/22~23 剣岳 早月尾根

GWの偵察を兼ねて早月尾根に行ってきました!
馬場島側は無雪期も含めて今回がはじめてです。


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登山申請は(20日前には間に合わなかったけど)何とか出して、この週末の分とGWの分とどちらも受理して貰えました。
ワクワクさんです!早くも心は連休ムード♪


前夜は長い長いドライブでした。分かっちゃいたけど普通の週末で来るのは大変!運転時間の方が長いなんてこともあるかも?帰りが思いやられるな〜。
しかも関越に乗ってから、「GWまでゲートがあかない」という情報を入手!林道歩きのおまけもついた〜〜!(タダの情報収集不足)


日付が変わる頃到着すると、ゲートの更に手前から通行止めになっています。カーナビによれば馬場島まで8kmの行程追加。プラス2時間が見込まれます。でも睡眠時間も確保したいし急ぐ理由も無いので、5時起床6時出発にしました。


久しぶりに車のう◯こ(※車の脇でシュラフにくるまって野宿するスタイルのこと)になって、満天の星空の下で眠りにつきます。しかし夜中に雨で起きました。寝ぼけながらテントをかぶって就寝。にわか雨ですぐやんだからよかった。

林道歩きは車にたまたまのってたトレランシューズを使い、馬場島にデポする事にしました。1時間半で登山口到着。
登山道に入ると、しょっぱなから早速の急登です。だだっ広い松尾平を過ぎるとまた急登が再開し、その後延々急傾斜が続きます。
疲れるけど、今日の行程は標高差1500mもあるので、ダラダラ登るよりいいです。グングン高度を稼いで、馬場島から5時間弱で早月小屋に着きました。


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今から山頂に行くのも微妙な時間帯だったので、ここで幕営することにして、暇つぶしに穴を掘りました。本当は雪洞のなかにテントをはるつもりだったけどあまりに難儀だったから諦めて、こんな中途半端な風よけになりました。でもサイズはぴったりですぽっとハマってていい感じです。明日テントがとばなければそれでいいんです。


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丁度いいタイミングというか、お昼から好天するはずの天候がどんどん怪しくなってきて、濃いガスが立ちこめてきました。でも時たま暖かい光線を感じることもあり、どこかに太陽がいるということは分かります。ペコマがせっせと2人がけソファ席にサイドテーブルまで作ってくれたので、とりあえず飲むかってなりました。


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天然クーラーで青鬼を冷やしながらジャーキーをつまむ幸せなひととき。辺り一面真っ白で何も見えないけど幸せなのです。


しかしビールが1本空く頃にはどんどん気温が下がり、風雪も強まって来たのでテントに撤退。その後は雨なんだか湿雪なんだか、ほぼ雨といっていい天候になりました。夕方になっても一向に弱まる気配はなく、フライのないテントの布地を染みて来た水がしたたってテント内は水たまりです。中途半端な雪の屋根がほんの少しだけ雨漏りを防いでくれました。

そんな愉快なディナーを愉しみつつ、18時過ぎには眠りにつきました。


0時頃、一度目が覚めました。雨音は止み、辺りは水を打ったような静けさに包まれています。ヘッデンをつけずにテントを出ると、目の前に飛び込んできた宝石のような煌めきに思わず嘆息しました。光り輝やく富山市内の夜景が漆黒にぽっかりと浮かんでいます。いつの間にかガスも消え、完全な無風、静謐。頭上を見上げれば凍てつく空気の向こうに無数の星が瞬いていました。
胸いっぱいになってテントに戻り、夏用シュラフにくるまって放射冷却に震えながらうとうと。気付けば2時間が経っていました。


朝は時間のかからない乾燥パスタとスープ、パン。テント撤収も無いので1時間で出発するはずが、結局3時半過ぎになってしまいました。山頂でご来光、間に合うかな?



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しかも日の出は5時半だと思ってたら5時だったみたい。いつの間にそんなに日が延びたのね。
黒々と屹立する剱尾根にも少しずつ色がついてきました。


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山々が一日で1番美しく萌える刻です。



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剱にいるとは思えない雲ひとつない晴天のなか、壮絶なモルゲンロートを二人じめです!


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あまりペースを上げられず、結局山頂到着は日の出から1時間を過ぎた6時。山頂まで1時間半を見積もっていたというペコマに「遅いね!」となじられてしまった。反省!



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実は先週から写真が少なく、かつ微妙な写真しかないのはカメラが壊れたからです。オリンパスのToughシリーズのカメラ3台目がまたしても壊れました。2台目は赤石沢で流されたので仕方ないとしても、1台目と3台目は勝手に電池ボックスが開いてて気付いたら浸水してたのが原因です。寒いとすぐ死んだフリするし、次からはtoughシリーズにこだわるのはやめて軽さ重視のカメラにしようと思います。


春山といってもやはり稜線上は15m/s程度の強風なので、手袋を外してのスマホ撮影は一苦労。タッチペンがあるといいのかもね。買わないけどね。


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今回の目的は山頂から早月尾根上部にかけての難所の下見でした。GWにはここを暗い中通過する可能性があるので、予めルートの状態などを確認しておきたかったんです。夏に来たことがないから分からないけど、きっと夏は鎖場なんだろうなと思うような胸に迫る堅雪壁をダガーポジションで登ったり、軽い岩登りがあったりします。帰りはクライムダウンとラペルでした。残置スリングも探すと色々あります。


8時ころテンバについて出すもの出して、テント撤収。8時半頃には出発したのでしょうか。よく覚えてませんが、早く帰ってビールを飲みたいという不純な動機のもと、急いでおりました。でも標高1600mより上の雪は日射の割に意外と緩んでなくて、アイゼンがいちいちロックするので疲れました。
途中からだましだまし、アイゼンを手に持ってつぼグリセード、堅くて急になってきたら装着という小賢しいやり方で省エネし、最後はアイゼンをしまってひたすらグリセード滑降。上手い人はザングツでパラレルターンするそうですが私にはボーゲンが限界です。


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馬場島に着いたのは11時。テンバから2時間半くらいでした。
そこらからスニーカーに履き替えての林道歩きも地味に疲れる。でもアルペンルートの喧騒とうって変わった牧歌的な風景で、途中振り返ればヨーロッパアルプスを彷彿とさせるような雄大な剱岳を拝むことができるのはとてもいいです。
行きは1時間半だったのに帰りは2時間近くかかりました。でもひどい渋滞にも巻き込まれず、無事に早く帰ってビールが飲めたので任務完遂です!


GWも天気の神様に優しくしてもらえるといいなあ。

テーマ : ウィンタースポーツ
ジャンル : スポーツ

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2017/4/15〜16 鹿島槍ヶ岳 東尾根

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大学山岳同好会の後輩Tさん(通称"あきちゃん")と、部のコーチで尾根の向こうにもたびたび登場しているI先生こと"いとうちゃん"の2名を連れ、鹿島槍東尾根に行ってきました。


2週後に計画していた本番登山のプレ山行として、雪稜歩き中心で、ある程度長い行程のルートを選んだ結果、この人気ルートになりました。

私とペコマにとっても、白馬主稜などと並んで行ってみたかったルート、けどなんか二人で行くにはタイミング逃した感のあるルートだったのですが、みんなでわいわい楽しく登るスタイルかつ母校山岳同好会の活動に貢献出来るという付加価値もつくので2倍楽しい計画です。


金夜入りしてゲート手前で宴会後、日付が変わって1時前には就寝。翌朝4時起床して5時頃行動開始しました。
私たちの前に2パーティほど行っている雰囲気で、更に後続も居そうな感じでした。やっぱり大人気ルートですね!


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林道を歩き始めて早々、雪があらわれる。そしてカモシカがひょっこり顔を出しました。付かず離れず、こちらの様子を伺う愛らしい姿に夢中になっていたら


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東尾根の取り付きを通り過ぎました。林道がぐねぐね屈曲した直後のこの看板が目印。まあ、どこから登ってもいいのでしょうけれど。
よく見ると古びた赤布がありましたが、踏み跡は不明瞭で適当に登って行く感じです。ちなみに下山時通り過ぎたときには新品ぴかぴかのピンクテープが2つも追加されていて非常に分かり易くなっていましたよ。


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4月は来るGWに向け、毎週がっつり歩き系山行の予定です。最近またイノクマさんの有料サービスを利用しはじめました。今日の予報は昼前から雨か雪、そして雷。でも午前中は穏やかでいい天気でした。ブナ林の急登をひと登りすると、30分くらい前に先行したパーティに追いつきました。ラッセルを交代して先を行きます。


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いとうちゃんは面白い人です。大学時代は彼の講義を受けていましたが、何だか変わった感じの怖そうな人だなって思っていました。でも本当は違います。愉快な山屋さんです。古い山屋さんなので、登攀技術ははじめ見ていてヒヤヒヤすることも多かったですが、最近はとても安定感のある山屋さんになってきています。山男の歌とか色々知っていて、酔うと歌い始めます。


って、偉そうに書いてるけど、親しみを込めて書いています。入間のBase Campにも足繁く通ってフリーも頑張っています。ジムで「せいっ!」ていう珍しいかけ声が聞こえたら、たぶんいとうちゃんです。「ガンバ!」って言ってあげて下さい。


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と、順調に雪山ハイクを楽しんでいたら、予報通り雲行きが怪しくなって来てほどなくして雪も降り始めました。標高2000mちょいだけど、雨じゃなくてよかった・・!しかし風雪はどんどん強くなり、そして一ノ沢の頭を越える頃にはガスも濃くなりました。更に恐れていたことが・・・。雷さまのおでましです!!



しかしまさにナイフリッジの通過中、とりあえず進むしかありません。雷光と雷鳴の間隔がほとんど同時になってきて、低姿勢でじりじり進んでいたその時です。ちょうど二ノ沢の頭にたどり着いたころ、静電気のような気配を感じました。その直後にいとうちゃんのピッケルがぶーんとうなり、腕に電気を感じたようです。「くるぞ!」といとうちゃんが叫ぶやいなや、私の右足の親指の先から踵へと、すさまじい電撃が走りました。思わず短い悲鳴をあげてしまいます。


ペコマ「雷やばいね〜」
いとうちゃん「おちた、おちた」
あきちゃん「!」
ペコマ「いまどっか落ちましたね」
いとうちゃん「いや、いまここに落ちたの。ここに落ちた」
ちっぺ「私の右足流れた!」
いとうちゃん「ピッケルに感じたよ」
ペコマ「なにそれ、やば!!」


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とりあえず踵上げて三角形つくる、バランス崩してコケたら最悪な避雷姿勢、通称"雷しゃがみ"とかやってみるものの、さっさとどっかに避難もしたい。だってここはよりによって頭。だだっ広い尾根の真ん中です。

だましだましコルへ移動し、高いダケカンバに付かず離れずの位置に簡易雪洞を掘って雷宿り。予報では昼過ぎから天気回復とのことだったので、ここでしばし停滞して嵐が過ぎ去るのを待ち、天気回復してから行動再開、予定通り本日の目的地である第一岩峰の基部を目指す作戦としました。

この間に追い抜いた先行パーティが通り過ぎます。聞くと、彼らも第一岩峰基部に張る予定とのこと。この時点では2張もはるスペースがあるのか謎だったので、どうしようかと相談しながらうとうとします。

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しかし12時を回っても風雪は強まるばかり。後続パーティも合流し、彼らはここで幕営準備をはじめました。とりあえず雷雲は過ぎ去ったようなので、私たちは行動再開。先へ進むものの、ガスが濃くて尾根の端がどこなのか、傾斜がどのくらいなのかも判別不能。結局二ノ沢の頭の先にある小ピークを越えたコルで行動終了としました。


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狭い稜線上に雪を掘り下げてテント設営。快適なトイレも作りました。テントに潜り込むと、それだけであったかい!装備は何もかもびしょ濡れです。早速水作り&大乾かし大会。お湯アイロン大活躍!結局天気は悪化するばかりでした。停滞して正解!


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16時を過ぎたころ、わさわさと夕飯のお披露目がはじまります。そして各人持ち寄ったロービー、豚角煮、生姜焼き、ミートボールetc...。α米に一品プラスですごく美味しくなるのですが、これはもう豪華過ぎ!「軽量化」とか言ってたのにみんなやるな!(笑)

スナック菓子やつまみも豊富でたらふく食べました。


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夕方になると、やっと風雪が弱まって来てトイレに行く気力も沸いてきました。テントを出ると、なんと西に青空が見えている!雪庇の向こう、北の空には積雲の上に笠雲のような変わった雲が出ていました。


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爺ヶ岳方面。やっと嵐は過ぎ去ったようです。明日が楽しみだ!


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この日は18時には就寝して、翌朝2時半起床。乾燥パスタの朝食を済ませ、テント撤収して4時前に行動開始です。暗い中を歩いて行ったら、途中岩が出ているところでわざわざ強点をついちゃったりしてタイムロス。すっかり陽が昇りきった6時頃、第一岩峰に到着しました。しかし第一岩峰基部に幕営したはずの先行パーティ4名は今まさに取り付いたところで、ラインも被りそうだししばし順番待ち。後続のペアも追いついて来て渋滞発生です。


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第一岩峰上からフォローのあきちゃん、いとうちゃんを見下ろす。最高の天気、既にすばらしいパノラマが広がっています。今回は60mダブルロープ1本で、私かペコマがリードをしてロープ固定し、プルージックでFIXロープを登ってもらうスタイルにしました。


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第二岩峰では更にここまでノーロープできたっぽい5名パーティも合流しました。先頭で取り付いたのは、第一岩峰で合流したペア。2番手が4名パーティ、私たちは3番手です。最後に核心部があり、みんなここで苦労してました。お助け残置スリングがあるのでエイドもできます。


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ここを越えたらあとはひたすら雪稜登りと、雪壁トラバース。すでに雪が腐って来てますが滑ったら超気持ち良さそうなザラメです。北峰を素通りし、もうひとのぼり。さあ、山頂は後少しだ!


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あきちゃんは在学中、一番頑張っていた部員です。今はもうOGですが、看護師の仕事をしながら頑張って山を続けています。大学時代から一人で山歩きをはじめているのでキャリアも長く、少しずつステップアップしながら、一昨年の夏には彼女たっての希望で一緒に剣岳源次郎尾根も行きました。今回のプレ山行も、彼女が行きたいルートがあり、私たちが少なからずお手伝いをさせてもらっている感じ。メンタルも強くて弱音は一切吐きません。私たちとは根本から人間性が違う感じです。


ついに登頂!お疲れ様でした〜!!


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雪が安定していそうなら北俣本谷をさっさか降りたいところでしたが、昨日ある程度の降雪があったし今朝は激しい日射で午前中から雪が腐っているような状況。登っている最中も、そこかしこの沢筋で小規模な点発生がみられました。大人しく赤岩尾根を降りる事にして稜線を南下します。


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赤岩尾根にとりつくトラバースがやや緊張しましたが、それ以外はとくに悪い所はありませんでした。西沢の雪が比較的安定していそうだったので、早々に尾根を外れて大斜面を下降!尻セードの人生最長記録を更新したと思います。それはそれで楽しかったけど、シュプールを見るとちょっと焼きもちやいちゃったのは内緒です。

なんだかんだでゲート着は17時半。13時間半を越える行動時間となりました。おつかれさまでした〜!



さて、GWはペコマと剱に行く予定です。つぎの週末はその偵察。そして再来週もたぶんこの4人でどこか山に行くと思います。
雪稜は岩とは違った難しさがあり、私たちの弱点でもある気がします。
コンテかフリーソロでさっさか進むのは得意ですが、雪しかない斜面でしっかりした確保をした経験はきっと年数の割にかなり少ないです。
こういう機会に、基本的なアイゼンワークなども含め、もっと洗練できたらと思っています。
岩シーズンINまで、最後の雪山をがっつり楽しみますよ!
テーマ : ウィンタースポーツ
ジャンル : スポーツ

Tag:アルパインクライミング  Trackback:0 comment:0 

栂池、妙高で日帰りBC

3/18〜20の3連休に層雲峡でアイス収めをし、その翌週からは日帰りBCスキーに行ってました。


2017/3/25 は栂池高原スキー場から白馬乗鞍へ。


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あぢーーー・・


降雪後で、この日の天気はどがつくピーカン!眺めも最高でThe Dayかと思われましたが・・・



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早朝から日射がやばい!!



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11時半ころ、白馬乗鞍山頂着!!360度の大パノラマ!・・だけどね。


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ゆ、雪が重い〜〜!

天狗原まではまだいくらか柔らかい深雪を楽しめたものの、天狗原から下はすでにギッタギタ!

傾斜が強い所はほぼ直滑降でないと埋まってしまう。
重い雪に足をとられ、深く刻まれたトレースに四苦八苦しながらどうにかこうにか下降。そしてゲレンデの圧雪バーンに入ったときの安心感といったら・・・!orz(ちょっとせつない)


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スキーは不慣れだしあっという間にどこいっちゃうか分からないのでGPS(スマホ無料アプリ)活用してます。


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翌日は夕方から仕事だったので、ホテルグリーンプラザに泊まって午前だけ滑って帰りました。



そして翌週も日曜仕事の土曜日帰り。
かつ4/1は南岸のせいで太平洋側の天気が全滅だったため、妙高に行こうという事になりました。


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この日はスキーヤーはほとんど入ってませんでした。
静かで美しいブナ林の中を登って行きます。


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前山で女性単独スキーヤーとおしゃべり。強そうでかっこ良かった。行ける所までスキー履いて行けばって言われたけど、私たちはスキー初心者!シール歩行も下手なので急斜面のジグとかで手間取って時間がかかる。むしろつぼのほうが早い位??
っていうか、つぼなら怖いもの無し!(笑)
ということで前山にスキーをデポして百名山ハントに出発〜!


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しかし最初のこぶを越え間もなくしてスキーを置いて来た事を後悔しはじめる。なんなんだこの気持ちよさそうな斜面は・・!


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地上から見ると雲の中だった山頂。しかし雲の上へ出ると別世界だった。青空と、見渡す限りの雲海!


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前山から尾根伝いに歩くと途中で夏道に合流。ジャンクションから妙高山頂までは夏のコースタイムで約2時間です。この日もくるぶし〜膝程度のラッセルはあったものの、概ね2時間ほどで到着。


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最後は八ヶ岳を思わせるポコポコガバ系の岩も出て来てひと登り。山頂からのパノラマは最高!来て良かった〜!



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少し休憩して13時半頃下山開始。途中、オープンバーンで小規模な雪崩が発生してました。ひとりずつ急いで通過します。


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しかし午前よりガスが濃くなって来て、行きに雲の上だった2100m付近から早くも当たり一面真っ白けになってしまいました。前山のデポ地点も真っ白!ここから右の尾根を落として行きます。



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真っ白で何んにも見えないけどね!!


標高1600から下は尾根の南側に急峻な沢があらわれるので、こちらの沢に入ってしまわないよう気をつけつつスキーヤーズレフトに落としていく。しかし真っ白すぎて数メートル先の斜面の傾斜すら分かりません。


少し降りては方角を確かめ、ってやっていたのに、気がつくと傾斜がかなりきつくなり行き詰まる。。


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どうやら左へ落とし過ぎたようで、北側の沢に入っていると思われました。地形図からは、右の尾根にあがらないとこの先苦労すること間違い無し。右の尾根へあがりなおすためここからひたすらトラバースです。

で、薮をこいだり、、


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ほとんどバーチカル(笑)な雪壁を降りたら雪が崩れて、さっきまで居た所に巨大シュルントが現れたり(笑)


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標高1200mを過ぎてスキー場の音楽が近くに聞こえる様になってくるとやっと視界が出てきたものの、今度は岩の様に硬いバーンで辟易。先行者のトレースが特に硬く凍っており、思わぬ反発でひっくり返りそうになります。
誰も居なくなったスキー場に入り、またも圧雪バーンの優しさが身にしみる。駐車場に着く頃には16時半をまわっており、雪がちらついていました。朝は快晴だったのにね!

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前山からの滑降のトラッキング。もっと尾根筋を忠実に南東に落としたかったのだけど、開始早々かなり急なバーンにはいりこんでますね。トラバースを終えてからはまあまあいい感じに落とせました。視界ゼロで爽快感はなかったけど!
スキーも奥が深くて楽しいです。


冬は楽しいことが多すぎ!
テーマ : ウィンタースポーツ
ジャンル : スポーツ

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プロフィール

chippe

Author:chippe
chippeのブログへようこそ!
2006.10 山歩きをはじめる。
2007.9 クライミングをはじめる。
山岳同人「青鬼」所属のゆるふわクライマー。

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