Weeping Wall Right-Hand Side - 2017 正月 カナディアンロッキー アイスクライミング 記録

※カナディアンロッキーツアーのレポートです。文中のグレーディングなどはカナディアンロッキーのトポ"ICE LINES"を参考にしています。※


ICE LINESのグレーディングは日本よりワングレードくらい辛めと聞いていましたが、数日登って感じが掴めてきたのでもっと難しいのを登りに行こうということになりました。
そういうわけで1月4日と6日はWeeping Wallに行きました。



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Canmoreからは約2時間とちょっと離れてます。Hwy1を西へひた走り、BanffをこえLake Louiseをこえて更にJasper方面へ。真西に向かうHwy1から途中で北へ向かうHwy93にのりかえて、さらに20kmくらい北上したところにあります。Rampart Creek Hostelという近くの山小屋をベースにするのもオススメだとか。
そろそろかなと注意して見ていれば、薄暗くても巨大な滝が右手に見えてくるのでわかります。その道向かいの駐車スペースに車を停めて準備です。


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このparkingにはイタズラravenが居てクライマーの荷物を狙っています。ザックのジッパーくらいは苦もなく開けられるそうです。なので取り付きに荷物を残置することは出来ません。車で登攀準備をすっかり済ませていくのが吉です。


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アプローチはガチで5分です。これでもまだ本来の大きさほどには発達していないそうです。
私たちはバックロープに日本から持ってきた60mダブルロープを使うつもりでしたが、駐車場でたまたまお会いしたKさんが「懸垂は70m必須」と教えて下さり、親切にも70mダブルロープを貸してくれました!
そして私たちはこのロープに大いに助けられることになるわけで・・感謝感謝です。


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この日はじゃんけんで勝った順にリードすることにしました。1P目はchippeから。私たちと同じRight-Hand Side(WI5,160m)を登ろうとしている3人パーティがいたため、本来のラインより少し左寄りから登り始めました。



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Left-Hand(WI4,180m)を先に登り始めた3人はガイドパーティで、リードしていたガイドはICE LINES著者のBrentさんだったらしい。サインはもらい損ねました。


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1P目はトポによるとWI4で45-55m。右コーナーの岩壁にボルトアンカーが打ち込まれた快適なテラスがあり、そこでピッチをきります。でもあとから登り始めた右のパーティと干渉してしまい、中途半端な位置でスクリューアンカーを取りました。しかし右のパーティのリードもボルトまで行かずに私のすぐ隣でアンカーを作り始めました。
彼らはフォローの2人が上がってきてから、結局10m先のボルトまでまたスタカットで移動することにしたようで、ちょっと揉めてました。



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右隣のパーティが全員フォールラインから離れるのを待って、pecomaが次のピッチを開始。凹角状を直上して25mほど伸ばし、ハングしたカーテン下のミニ洞穴でピッチをきりました。



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chippeがフォローを終えて合流するも、ここから更に直上するのは傾斜も強く、氷も不安定で悪そう。しばし右パーティの様子を伺っていると、ボルトアンカーから20mほど登ったところでピッチを切って下降をはじめたようでした。彼らが充分離れるのを待って、元のラインに戻ることにしました。ここから右コーナーへトラバースを試みます。


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途中、もろいクラゲの大群地帯に入り込み、容易に壊れる氷の中をヒヤヒヤしながらのランナウト。なんとか悪場を抜けて氷質がしっかりしてきたところで、右コーナーになんちゃってアバラコフが残置された穴状のテラスがありました。本来の2P目はトポによるとWI5,60m。まだロープは25mくらいしか出ていないので、先の25mと合わせても少し足りない。しかしそこから先は80度程度の傾斜となっており、先もよく見えません。どれくらいロープを伸ばせるのかもよく分からなかったのでそこでピッチを切りました。


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次のピッチをpecomaがリード。傾斜の強い部分はほんの5mほどで、あとは傾斜の緩い凹角状でした。ロープが50mほど出たところで解除コールがかかりました。これだけ出たとすると、もしかしてトップアウトできたということもあり得る?とちょっと期待します。


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でも、やはりpecomaが到達したところは終了点ではなく、そこから最後のバーチカルなピラーが威圧的にそびえ立っていました。
私たちはトラバース気味になったとはいえ、トポ上の1Pを3Pに分けて登ったことになります。それにしても2P目が60mとは到底思えません。1P目終了点のボルトから60mでここまで到達するのは不可能に思えました。
この時点ですでに16時をまわっており、間もなく暗くなることが予想されました。ヘッデンを1つしか持って来ていなかったので、ここから下降することにしました。
懸垂下降用のボルトアンカーは更に右の岩壁に設置されており、トップアウトしないと使えません。
巨大な氷柱にロープじか掛けは凍ってひけなくなるのが怖かったので、スリングを残置して下降を開始しました。


ルート上に残置アバラコフがあるのを知っていたのでそこを目指しましたが、結果的には70mロープの伸びも相まってギリギリくらいでした。アバラコフフックを置いて来てしまっていたし、60mロープだったらスクリューまで残置の危機でした。


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二日後、ギアショップでマムートの7.5mm 70mダブルロープと捨て縄を購入し、アバラコフフックもちゃんと持ってゴミ掃除のため再訪しました。
この日は絶対一番にとりつき、かつ明るいうちにおりてシュラスコを食べに行きたかった(笑)ので早起きしてきました。まだ薄暗いですがもう9時です。早起きの甲斐あって、この日は一番乗り。この日はこのあと1パーティがLeft-Handを登りに来ただけでしたが。
はじめのトライとオーダーをかえて、1P目をpecoma、2P目をchippeがトライし、3P目はじゃんけんで決めようと言う事になりました。


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こんどは本来のラインを快適なボルトアンカーまで、50mくらい順調に登ります。この日も天気は最高でした!



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どのくらいロープを伸ばせるのか未知数な2P目。70m伸ばしてもたぶんスリングを残置した快適なハング下までは行けません。でもその15mくらい手前から傾斜は緩み始めるので、行ける所まで行ってきる、ということでスタートしました。
結果、長い長い80mの旅となりました。最後の10mはpecomaが同時登攀していたようでした(といっても傾斜70度程度はあるのですが・・)。どんどん重くなるロープをひきずり、アンカーの分をぬいて使えるスクリューは12本。途中またクラゲ地帯を通過したり、残弾を気にしながらのランナウトにひやひやしつつ垂直部をこなして、二日前にも訪れた緩傾斜帯にたどり着いた時には心もパンプしかけてました。しかも気付けば2時間半以上経っておりびっくりするやらへこむやら。。


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スクリューセットに手間取ったり、氷の大海原からラインを見極めるスピードもなく、心のパンプからくる打ち込み過ぎやらなにやら・・。もろもろの”遅さ”の積み重ねでこんなに時間がかかってしまうのでしょう。でもそれが今の実力なのです。結局、80m伸ばしても二日前に下降を開始した地点にはあと一歩届きませんでした。次のピッチのもろフォールラインに入りそうな緩傾斜部分でどうにも動けなくなり、表面のウインドスラブをノミックのハンマーで叩き壊してピッチを切りました。



次のピッチはpecomaに快く譲ろうと思っていました。余りに時間をかけてしまった後ろめたさもあるし、正直心もよれていたし。でもフォローであがってきたpecomaの慈悲深さは私の想像をはるかに越えていました。

「いや、これが実力なんだからしょうがない。予定通り、じゃんけんでいいよ」と・・・!


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なら遠慮なく、とじゃんけんをしたら、見事にchippeの勝ちでした。
次のピッチはWI5,50m。
長さにしてこのルート全体の2/3以上、そして核心部の全てをリードさせてもらえるという幸運を手にしたのでした。
そう、じゃんけんも実力のうちなのです!



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威圧的に見えた核心部も、垂直なのは15m程度。ほどなくして傾斜がゆるみ登り易くなりました。しかし心も身体もよれていたので登りは散々でした。途中、ゴミも無事回収出来、最後にはトポにある通りの「ごついチェーンの巻き付いたぶっとい木」がありました。
お疲れさま!


他にひとも居ないし、いつも通り「フォー!(解除!)」と叫ぶと、はるか左のほうから「fooooo!」という威勢のいいお返事が。Left-Handを登り終えた2人が下降を開始するところでした。pecomaのフォーはきこえてきません。きっとさっきの彼らの声にかき消されたのでしょう。仕方なく「解除!」と言い直し、改めて「カナダで"フォー"コールは不可」と思い知ったのでした。


下降はぶっとい木から約60m、55m、55mの3回で出来ます。岩肌にアイゼンの引っ搔き傷と快適なボルトアンカーがあります。やはり70mロープ前提での安心設計です。無事明るいうちに降りられ、シュラスコで乾杯出来ました。


次回はこの更に上にそびえ立つWI6、100m超のPillarにも是非挑みたいですね!!

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2006.10 山歩きをはじめる。
2007.9 クライミングをはじめる。
山岳同人「青鬼」所属のゆるふわクライマー。

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